私と君の関係 *学園の王子は婚約者様!?*


「もぉー。格好良いけど、ここまで騒がれてるとちょっと妬けちゃうなぁ」


「練習だけでこの歓声って、試合始まったらさっき以上にもっとすごいかもね……」


 歓声の真ん中にいる藍斗くんを見つめ、莉奈は頬を膨らませている。


 ……まあ、確かに自分の彼氏がここまで騒がれていたらそんなにいい気はしないよね。



「あっ!華音には見えやすい特別な場所へ連れてってあげるね♪」


 シーっと意地悪そうな笑みを浮かべた莉奈。


 特別な場所……?


 莉奈の言葉に頭をかしげると、「着いてきてー!」って言うから黙って着いて行くことにした。


 バレないように人混みの後ろを進んでいくと、【立ち入り禁止】と書いてあるステージに続く扉に入る。


 ステージ横の待機場所に入ると、周りの音が消えて静かだ。今日はボールが入ると危ないからステージはカーテンで閉められているから余計に。


 あんなに騒がしかった体育館が嘘のよう。


 でも、こんな立ち入り禁止って書いてあるのに入っていいのかな?


 なんて、私の心の声が聞こえたのか、莉奈がしっかり説明してくれた。


「藍斗がね、『もし俺と颯真が決勝行ったらステージ上から見ときな』って言ってくれてたんだ〜」


 何でも、絶対に体育館内が人で溢れることを予想していたらしい藍斗くんが先手を打つ形で、私達だけ特別にここに入る許可を出してくれたみたい。


 そりゃ、自分の格好良いところを周りのギャラリーに邪魔されずに見て欲しいもんね。

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