私と君の関係 *学園の王子は婚約者様!?*
『やめてください、その嘘くさい笑顔』
初対面の日。
可愛く着飾って、借りてきた猫の様に大人しく可憐な姿をしてると思っていたのに。
ジッと俺の目を見つめていた華音。
その見透かすような目に、最初は驚いたし面白いと思った。
別にいつも学園でしてる王子様キャラと変わらないのに、それを初対面で破られるとは思ってもいなかった。
家族や藍斗、莉奈ちゃんは別だけど、俺の裏の顔は誰にだって知られていない。
だからいつもの様に笑って、いつもの様に大人な対応をしていた。
バレるはずない。そんな俺の自信は、華音には全て通用しなかった。
だから少しだけ信じてみたかったのかもしれない。
俺のことを、俺だけのことを見てくれる人を…………。
「随分と余裕な感じだね〜、颯真〜」
「……藍斗のおかげで余裕なんてねぇーよ」
「こっちも点数差が縮まらなくて必死なんだよ」
ボールを持つ藍斗の前に出ると、ニヤリと笑っていた。お前の方が余裕じゃねぇかよ。
試合も終盤。球技大会だってのにだいぶ白熱してて、周りも体力が限界になってきてる。
それに、俺もそろそろ本気出していかないとな?