私と君の関係 *学園の王子は婚約者様!?*

*颯真side*



 下から見上げるように見つめてくる潤んだ目。


 恥ずかしそうに離して欲しいと訴えかけてくる赤い顔。


 抵抗して俺の胸辺りを押し返す細くてか弱い腕。


 いつも以上に近くにいるから感じる甘い香りと体温。



 いつも余裕そうに見せていただけで、最近はそんな余裕も保てなくなるくらいたまに理性が利かなくなりそうな時がある。


 


 だから、

『…………もぉ、颯真のバカ……。せっかく優勝祝いのご飯作って待ってたのに……何でこんな意地悪なの……?』

 そんなことをあの近い距離で言われて、正直ヤバいと思った。


 初めて会った時はこんなに華音に心を揺さぶられるなんて思ってもみなかった。




 あーぁ。


 俺、相当華音にハマってるんだなー……。



 そう実感したら、今まで自分が女に興味を示さなかったのが不思議なくらいに華音には素直に感情が動かされていることに気づいた。



 華音だったら……って。


 華音にだったら、俺は俺でいられるんじゃないかって。


 家族や藍斗と莉奈ちゃん以外に見つけた、俺の“心から”大事な人。

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