私と君の関係 *学園の王子は婚約者様!?*
会場に入ってから少しの間だけはパパとママについて挨拶周りをしてたけど、すぐに解放された。
まあ、いつもこんな感じで大事な人だけ挨拶に付き合わされてたけど、すぐにお兄ちゃんと別行動してた。
大好きなお兄ちゃんと2人で美味しいもの食べて飲んでしてたなーと、思い出す。
お兄ちゃんもいないし、パパとママや、もちろん咲良ママも半分はこの場がお仕事だから私は1人で見なきゃいけないのだけは残念なんだけど……。
1人では寂しいなーとか色々思いつつも、私は無意識に探してしまっていることに気づいていた。
いつ来るのとかとか、どんな服装なのか分からないけど、私はこの人混みの中からでもきっと探し出してしまう自信がある。
それくらいに私は颯真のことを気にしている。
「……一緒に来たかったなぁ…………」
ついポロリと出てしまった本音は、周りのザワザワした声にかき消されたけど、それが今私が思っていることだ。
ここに1人でいることがこんなに心細いなんて。
急に胸がキュッと締め付けられて悲しくて、下を向いたその瞬間。
「華音!」
誰かが私を呼ぶ声がした。