私と君の関係 *学園の王子は婚約者様!?*
「従兄妹ってことにしておいて正解だったな」
歩いている途中、周りには聞こえない声で話しかけられた。
「…………ねえ。さっき言ってたびっくりすると思うって、このこと?」
覚悟しておいてなんて言うから何か変なことが起こるのかと思って構えていたけど、違う意味だったみたい。
歩いている中で颯真がこの学園でどれほどの人気者なのか分かった。
みんな新入生なのに颯真を知っていて、口を揃えて「格好良い」と赤い顔をして話していた。中には在校生がこっそり見に来ているのも見かけたし。
「俺、“学園の王子様”なんだって」
「王子様……?」
「そう。黒崎颯真は文武両道で品行方正なパーフェクト王子様だって」
いやいや。笑いながら言っているけど、王子様って……。
確かに私も初めて会った時は格好良いなぁとは思ったけど、裏の顔を知ってしまったから何とも思わない。
でもみんなは知らないから騙されているんだと思うと、ちょっと可哀想かも。
「じゃあ、俺はここで。くれぐれも俺の本性は内密で」
この角を曲がったら体育館って所まで連れて来てくれた颯真は、そう言ってどこかへ向かって行った。