押入れから王子が出てきましたよ?
いつも小首を傾げている王子が言う。
「何故、そんなことを訊く」
「いえ。
理不尽にも、毎晩、馬車馬のように働かされているので、せめてイケメンの王子に命じられていると思いたいだけです」
「心配するな。
私はイケメンだ」
と王子は言い切る。
……自分で言うやつはいまいち信用できないんだが、と訊いておいて思いながら、紬がチクチク縫っていると、その不信感が伝わったのか、
「本当だぞっ。
見てビックリだぞ!」
と王子は更に言いつのる。
へー。
今は、ぴょこぴょこ跳ねてて可愛いなとしか思わないが……と思っていると、本気にしていないと思ったのか、王子は重ねて言ってきた。
「そのうち、元に戻った姿を見せてやる。
神々しくて、ひれ伏すであろうっ!」
「いや、自分でハードル上げてどうするんですか」
「大丈夫だ。
心配するな」
と言いながら、王子はトコトコ歩いてきて、横にちょこんと腰掛けた。
紬と同じように木に背を預けて座る。
心地の良い風だ。
まあ、もうちょっと頑張るか……とそのときは思ったのだが。
こっちに戻ってくると、
……やはり眠い。
「一ノ瀬ーっ」
と頭の上でまた谷沢の声がした。
「何故、そんなことを訊く」
「いえ。
理不尽にも、毎晩、馬車馬のように働かされているので、せめてイケメンの王子に命じられていると思いたいだけです」
「心配するな。
私はイケメンだ」
と王子は言い切る。
……自分で言うやつはいまいち信用できないんだが、と訊いておいて思いながら、紬がチクチク縫っていると、その不信感が伝わったのか、
「本当だぞっ。
見てビックリだぞ!」
と王子は更に言いつのる。
へー。
今は、ぴょこぴょこ跳ねてて可愛いなとしか思わないが……と思っていると、本気にしていないと思ったのか、王子は重ねて言ってきた。
「そのうち、元に戻った姿を見せてやる。
神々しくて、ひれ伏すであろうっ!」
「いや、自分でハードル上げてどうするんですか」
「大丈夫だ。
心配するな」
と言いながら、王子はトコトコ歩いてきて、横にちょこんと腰掛けた。
紬と同じように木に背を預けて座る。
心地の良い風だ。
まあ、もうちょっと頑張るか……とそのときは思ったのだが。
こっちに戻ってくると、
……やはり眠い。
「一ノ瀬ーっ」
と頭の上でまた谷沢の声がした。