押入れから王子が出てきましたよ?
戦(?)がはじまったようです
よく晴れたある日、ついに第一回目の戦闘が始まった。
トーナメント制らしい。
「あのー、これ、戦争なんですか?
レクリエーションでは?」
と紬は訊いてみたのだが、
「なにを言う!
我々は真剣だ!」
と小首を傾げた王子は言ってくる。
寝転がったら気持ち良さそうな草原はだだっ広く。
遥か向こうに軍勢が居るのがうっすら見えた。
紬はこんなこともあろうかと持ってきていた自前の双眼鏡で見ると、向こうはちゃんと馬に乗って、鎧を着ていた。
だが、所詮は人形なので、やはり、人間よりは小さい。
紬は双眼鏡で、向こうを見ながら、
「これは人間の指でピン、とかやってはいけないのですね」
と弾く仕草をしてみせて、
「お前はなんという恐ろしいことを……」
と王子に極悪人のように言われてしまった。