押入れから王子が出てきましたよ?
「まあー、なんですよね。
 太古の時代の戦争も軍勢はいっぱい出て行っても、実際は呪い殺したりが主流だったと聞いたことありますからね。

 夜中に敵陣に忍んでいって、ひとり、えい、と殴って殺しておいて、

 ほら、我々の呪いにより、お前たちの兵士が死んだ。

 恐ろしいだろう~。

 神は我らに味方している~みたいな感じでやってたらしいですよ」

「……お前の話は何処までほんとなのだ」

 いや、世界史の時間に聞いたのだ。
 この戦争もそれと変わりないような、と思っているのだが、王子は本気だ。

「紬よ。
 流れ弾が飛んでくるやもしれぬ。

 お前は何処かへ避難しておれ」

 フェルト人形のままだが、王子は格好いいことを言ってくる。

「わかりました。
 では、後方におりますので、怪我した人は来てください」
と紬が針とハサミを見せると、ひいーっ、とみんな震え上がった。
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