押入れから王子が出てきましたよ?



「今回は、こちらのチームが勝ったんですね。
 おめでとうございます」

 戻って来た王子たちに紬が言うと、

「戦争だと言ってるだろうが、なにがチームだ」
と王子は憤慨して言ってくる。

「ところで、王子と将軍くらいしかお見かけしないんですが、王はどちらに。
 お城ですか?」

 王子は離れた位置にある物見櫓(ものみやぐら)のようなものを指差し、

「あの中だ。
 敵の王と父上はあそこで、観戦しておられる」
と言う。

 そういえば、半裸の女性が果物などを給仕しているのが見える。

「……やっぱ、レクリエーションでしょう。
 でも、お疲れさまでした」

 紬が頭を下げると、みなが口々に言ってきた。

「ありがとうございます、人形師様」

「さすが命を救う人形師様」

 いや、それはおばあちゃん……。

 っていうか、おばあちゃんが作ってるのも、ただの交通安全の人形なんだけど、と思っていたが、兵士たちは歓喜の中、紬を褒めたたえつづける。
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