押入れから王子が出てきましたよ?
「そのままでいいですよ」

 えっ、と言う王子に紬は微笑みかけた。

「今の可愛いあなたで、私はいいです」

「いや、それではなにも出来んではないか。
 感謝のハグとか、キスとか」

「……結構です」

 いや、本当に、と紬は繰り返し丁重に断った。



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