押入れから王子が出てきましたよ?
「……よい。
 私が側についていよう」

 そう王子が言ったようだった。

 ちんまりとなにかが脚に当たる。

 王子が脚に背を預けて座っているようだった。

 小さな塊だが、温かい。

 フェルトだから温かいというわけではないんだろうな、とさわさわと頭の上で葉の揺れる音を聞きながら、紬は眠りに落ちていった。

 なんか……落ち着くな、と思いながら。




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