押入れから王子が出てきましたよ?
 


 あのあと、将軍は、
「まあ、王子もたまには、あのルックスなしに勝負してみればいいんですよ」
と薄情にも笑っていた。

 入ってる容れ物は三人官女だが、豪快に……。

 次の日、また次の対戦が始まった。

 王子はみなを集めて叫ぶ。

「みな、心してかかれっ。
 これは全員倒すまで、終わらないデスゲームだ!」

 ……と刺されても痛くもかゆくもなさそうな、もふもふの詰まった姿で言う。

「平和ですね……」

「だからお前は何故、そう緊張感がないのだ」

 王子はこちらを振り向き、言ってきた。

「ところで、この戦闘、勝つとなんのいいことがあるんです?」

 クラスマッチみたいなもんだから、商品はジュースとか?
と思ってると、

「その年の一番になった国が、それぞれの国から作物を貰えたり、好きな嫁や妾をもらえたりする……」
と言ったあとで、王子は、

「まあ……私はそれはいい」
 チラッと何故かこちらを見る。

 チラチラ。

 見方が可愛いではないか。
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