押入れから王子が出てきましたよ?
 



「勝利、おめでとうございます」

 紬が言うと、うむ、と王子は頷く。

「お前もくつろげ」
と言われたので、はい、とテント前の草原で祝杯を上げる兵士たちと歓談していた。

 そのうち兵士のひとりが、いや、見かけは左大臣なのだが―― 話しかけてきた。

 紬は話を聞きながら、このボディを将軍にした方がよかったよな、と思っていた。

 でも、とりあえず出来ていたのが、三人官女のボディだったので、将軍を三人官女にくっつけてしまったのだ。

 付け替えてやろうと言ったのだが、首から切り離すと言うと、将軍が、
「遠慮させてください……」
と怯えて逃げたので、そのままになっていた。

 その中身が兵士の左大臣が、紬に、
「紬様は、やはり、王子のような方がお好みなのですよね?」
と訊いてくる。

「お、なんだ、お前。
 恐れ多くも紬様に気があるのか?」
と周りのみんなが茶化してくる。

 いや、王子のような方って、こういう可愛いのがって意味かな?

 本体知らないし、と思ったあとで、紬は、
「そうだ。
 この間から、いろいろイケメンがどうとか、好みがどうとか訊かれるので今日は持ってきてみましたよ」
とポケットから雑誌の切り抜きを取り出した。
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