腹黒天才ドクターは私の身体を隅々まで知っている。
〈デート!? ねぇ、これって鷹峯さんとデートってこと!? 聖南、もちろん行くわよ!!〉

安定の春夏姉さん大興奮。まったく脳天気な幽霊め。どんな顔してるか拝んでみたいわ。

でも、鷹峯さんとデートか……。あ、ダメダメ、考え出すとドキドキが止まらなくなる。

「今度の日曜日、私は仕事が休みですから。服の数枚くらい買ってあげますよ」

「そ、そんな、悪いですよっ」

いくら私がふてぶてしいとはいえ、これじゃ本格的にヒモ女まっしぐらだ。でも鷹峯さんは私の遠慮などどこ吹く風で、何だか楽しそうに椅子や棚、ひいては食器棚に並べられたアルコールのボトルたちまで拭き掃除を始めた。

……ていうか今更だけどすごいお酒の種類。まるでバーが開けそうなくらい。

「構いませんよ。どうせお金があっても使う暇がありませんから、溜まる一方なんです。経済は回した方が世の中のためでしょう?」

「ははは、言ってみたいわぁそんなセリフ」

ヒモ女には眩し過ぎるセリフを吐きながら、鷹峯さんはにっこりと笑ってみせる。

「それに春夏さんは私と恋人ごっこをしないと成仏出来ないと言っているんでしょう? だったらちょうど良いじゃないですか」

〈そうそう! さすが鷹峯さぁん!〉

頭の中で激しく同意している春夏。たぶん首がもげるくらい頷いている。

「……分かりました。春夏もめちゃくちゃ乗り気なので、服はともかくデートさせて下さい……」

「ふふ、よろしくお願いしますね」

うぁ、こんなイケメンと、デートだなんて……。何かバチが当たりそうなんですが。

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