腹黒天才ドクターは私の身体を隅々まで知っている。
鏡越しに鷹峯さんを見ると、少し困ったように笑っているのが見えた。

「ねぇ、こっちを向いて下さいよ。ちゃんと見せて」

「え? ちょ、た、鷹峯さんっ……?」

くるりと向きを変えられて、私は鷹峯さんと向き合う形になる。こんなに距離が近いと、私は背の高い鷹峯さんを見上げる体勢になって首が痛い。

そのまま無言で、私の身体は後ろの鏡へと追いやられる。鷹峯さんが屈んで顔が近付く。

「似合っていますよ、とても」

鷹峯さんの細い指がブラのストラップに差し込まれ、そのまますっと肩を撫でられる。

「んっ……」

触れられた部分が熱くて、思わず上擦った声が出る。

「う、鷹峯さんのむっつり……やることやってるくせに、こんな清楚な下着が好みなんて知りませんでした……」

気恥しくて、私はわざと可愛くない口を聞く。

「おや、随分と挑発的ですねぇ?」

「んんっ……」

唐突に、鷹峯さんが私の胸元に屈んだかと思うと鎖骨に舌を這わせた。

「悪い子にはお仕置きしませんと」

「ちょ、やめっ……」

カーテンの向こうに店員さんがいるかと思うと、大きな声も出せない。私は鷹峯さんの『お仕置き』に黙って耐える。

ふと、鷹峯さんが顔を上げた。してやったりと言いたげな表情。

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