腹黒天才ドクターは私の身体を隅々まで知っている。
「ほら……こっち向いて下さい?」

「んっ……」

リップ音を立てて、鷹峯さんの薄く形の良い唇が私の唇を啄む。

あの日を境に、鷹峯さんはよくキスを強請るようになった。

「鷹峯さん……好きっ……」

「ふふ、私もですよ」

バックハグしながら甘く囁く鷹峯さんに、私も応じる。部屋着のTシャツに下から手が差し込まれ、肌に直接鷹峯さんの指先を感じて胸がドキドキする。

甘い。それはもう砂を吐くほどって言うやつだ。

今まではちょこちょことちょっかいを出されることはあっても、こんな風にお互いの気持ちを確かめ合ってする行為なんてなかった。それは甘くて柔らかくて、優しく解けていきそうな幸せな感覚だった。

「はぁっ……」

鷹峯さんの指先が胸の先端を掠め、私は思わず身体を跳ねさせる。鷹峯さんがくすりと笑ったのが気配で分かる。

「鷹峯さ、まだ、朝だからっ……」

「だから何です? 関係ないでしょう。毎日キスとセックスって言ったのは貴女でしょう?」

< 95 / 110 >

この作品をシェア

pagetop