逃げ切ったはずなのに
そんな父が嫌で、私は徹底的に父に逆らうことにした。父が行くように行った女子中や女子高には通わず、男女共学のところに通って運動部に入り、毎日泥だらけになった。父は嫌な顔をしていたけど、そんなの知らない。

高校生になると、父が無理やりお見合いをさせることが増えた。相手は毎回有名企業の御曹司で、無駄に豪華な着物を着せられて、高級料亭に無理やり連れて行かれた。もちろん、毎回断っていたけど。

私は普通に生きていたい。普通に学校に通って、普通に恋愛をして、普通に結婚したい。親に決められるなんて絶対に嫌!

だから、私は家を出て父とは関係のない会社で働いている。氷室グループのお嬢様ということはもちろん隠して……。

普通に働いていたある日のこと、仕事が終わって今日の夕飯は何を食べようか、今日はお風呂に入浴剤を入れようか、そんなことを考えながら帰っていた。父に束縛されずに自由なのは嬉しい。こんな日々が続いてほしいけど、不幸は突然やってくる。
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