【超短編】とある日の屋上
静かにしてほしい。

「今ここで死なれたら

私の気分が悪いからやめてくれない?」

「そんなの君に関係ないじゃん」

「いや、あるでしょ。

人が目の前で死ぬなんて一生

心のトラウマになるでしょ」

正直どうでもよかった。

これから死ぬ人間に対して

後の事を考えろなんて無理な話だ。

後の事を考えられないから死ぬのに。

だが、その女性はそんな事が

どうしたとでも言いたそうな目で

こちらを見ている。

ここが野生なら小動物くらいは

逃げ出すレベルだと思う。



「わかったよ。

さすがに僕も見られながら

死ぬなんてものも嫌だから

今日は辞めとく」


もうこれでいいだろう。

やっと決心がついたのにとんだ

邪魔が入った。

心の中でひとりごちてに呟いた。


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