ファーストソング

━翌日
早速担当医に相談があると時間を作ってもらった。
長い話になるかもしれないから、私の部屋ではなく、小さい会議室のような場所に行く。

そういえばこの部屋で、余命宣告うけたんだよなぁ。

少し複雑な心境…。


「体調の方だ大丈夫?」
「大丈夫です。」
「そっか。辛くなるようだったら言ってね。」
「はい。」


担当医こと、櫻井春(さくらいしゅん)先生。
眼鏡をかけていて、知的で優しそうな雰囲気からナースさんたちに人気。
あと患者さんからも。

そんな櫻井先生は、脳外科のスペシャリスト。
私みたいな難しい病気を見れる数少ないお医者さん。


「それで、相談って何かな?」
「えっと…。」


どっから説明したらいいんだ?

まず、なんかよく分からない人がお見舞いにくることから?
それとも『フユ』のことから?

まずい。

頭が混乱してきた。


「もしかして最近お見舞いに来てくれている男の子のことかな?」
「え!」
「はは、正解みたいだね。」
「あ、はい。その人なんですけど…。」


ナースさんから先生に苦情でも入ってたのかな?
そうじゃなきゃ知らなくていい情報だし…。

私かもちゃんと注意しよう。
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