ファーストソング

10

俺は急な表情の変化に心配になる。

やっぱり無理言っちゃダメだったよな…。
何か声をかけようと思うけど、何も言葉がでてこない。

そんな中、『フユ』が決意したように話しかけてきた。


「喜んでる所申し訳ないけど、私からの課題。」
「へ?」
「『フユ』の最後の曲『サヨナラ』を録音してきて。」
「『サヨナラ』を!?」


俺があの『サヨナラ』を歌う!?
『フユ』の最後の曲で、俺が涙を流したあの曲を、俺が!?


「うん。それで判断する。」
「まじ!!?」
「おおまじ。」


おおまじ…。そうとなったら、頑張らないと…!
確かに『フユ』の曲は沢山歌ったけど、『サヨナラ』は歌ったことがない!
まずは音程を覚えないと!!


「分かった!!早速、調整してくる!!」
「あ、曲録音できるまで来なくていいから。それに集中して。」
「了解した!」


そう言うと、俺は走り出した。
途中ナースさんに怒られた気がしたけど、今は気にしていられない!!

急げ!俺!!
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