ファーストソング

素の自分…。

私は出せてたんだろうか?


「だから今を変えたくなくて、見て見ぬふりをしていたんだ。」
「…うん。」
「ちょっと考えれば分かることだった。病院で入院して目に見えるところに怪我がない。ということはって…!」


それはそう。

私もいつ夏輝に突っ込まれてるか不安だった。
いつまでも聞いてこない夏輝に気を使われてると思っていた。

それが現状を変えたくない夏輝による行動なんて全く思わなかった。

いつもの行動から、ただ疑問にすら思っていない音楽馬鹿だと思っていた。


「けどやっぱり俺は千冬ちゃんと一緒にいたい。友達でいたい…!本気で音楽の話が出来る千冬ちゃんともっと仲良くなりたい!だからごめん!!」

「なんで謝って…?」

「千冬ちゃんの残り時間俺にください!!!」


そう言って夏輝はその場で頭を下げた。
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