ファーストソング

私の残りの時間…。


「勿論、千冬ちゃんの体調を一番に考える。無理なんか絶対にさせない!!だから、だから…お願いします!!!!」


頭を下げたまま、大きい声でお願いする彼は病院にとって迷惑な存在だし。
急にそんなこと言われても…と思う。

でも、気持ちは伝わる。

こんなに真正面から一緒にいたいって言ってくれた人なんて家族以外いなかった。

なのに夏輝はその思いを私に伝えてくれた。
私の欲しい言葉をくれた。

私の病気を知ってなお私といたいと言ってくれる。

止まっていた涙が再度流れ始める。
でもこの涙はさっきまでの諦めの涙じゃない。
嬉し涙だ。

一緒にいたいと、友達でいたいといってくれた夏輝の言葉が嬉しい…!


「…馬鹿だなぁ…。」


思わずそんな言葉がでてしまう。

だって私はとっくの昔に覚悟が出来ていたから…。
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