ファーストソング

あと1年…?

それが千冬ちゃんに残された時間…。


俺の理解を超えた発言にただただ唖然とするしかなかった。
そんな俺にさらなる爆弾が落とされる。


「だから中途半端な気持ちで千冬に関わって欲しくないの。それがあの子のためでも佐久間さんの為にもなるから。」


長瀬さんの言葉に俺は返す言葉もなかった。

何も考えてないかった。
いや、考えようとしなかった俺への罰。

ここが漫画やアニメの世界なら助けることができる。

でも俺は主人公じゃないただの高校生。
そんな俺に一体何が出来る?

答えは簡単だ。


俺は何もできない。


「…俺の夢ってなんだか知ってます?」
「知らないけど…。急にどうしたの?」

「俺の夢は歌手になることです。『フユ』みたいな歌手になること。」


それでも俺は…。


千冬ちゃんの曲が歌いたい。
< 50 / 77 >

この作品をシェア

pagetop