ファーストソング
第五章 夏、冬と夏はゼロ距離になる ━ 夏輝side
1
千冬ちゃんを好きだと気づいて数日が経ちついに夏休みに入った。
高校最後の夏休みということで周りは勉強漬け。
俺は一応就職活動組だが、勿論ちゃんとする気なんてないのでバイトを始めて先生からは逃げている状態。
ガチごめんて。
だからバイトの合間をぬったりして毎日病室に来ている。
そこで段々分かってきたことがある。
俺が入るまで千冬ちゃんはずっと外を見ているのだ。
「なぁ、千冬ちゃんは空が好きなのか?」
「え? なんで?」
「んー、よく見てるから?」
「ほらパソコンずっと触ってるとさ目が疲れてくるでしょ? だから外の景色みて目の疲れを癒してるの」
「へぇ! そうなんだ!」
「あともうすぐでしょ?」
「なにが?」
「花火」
「え、いつなの?」
「分かんないけど、そろそろかなって。 実はねちょっとだけ見えるんだ」
「そうなの?」
「ビルとビルの間から少しね。 それがちょっとだけ楽しみなんだ」
「ちゃんと見たことある?」
「ないかな。 病室とかちょこっと見れるだけ。 家からだと音しか聞こえなかったしね」
「ふーん」
外を見る千冬ちゃんはどこか寂しそうだった。
…そっか。
千冬ちゃんにとっては最後の夏。
見せてあげたいなぁ、花火。
高校最後の夏休みということで周りは勉強漬け。
俺は一応就職活動組だが、勿論ちゃんとする気なんてないのでバイトを始めて先生からは逃げている状態。
ガチごめんて。
だからバイトの合間をぬったりして毎日病室に来ている。
そこで段々分かってきたことがある。
俺が入るまで千冬ちゃんはずっと外を見ているのだ。
「なぁ、千冬ちゃんは空が好きなのか?」
「え? なんで?」
「んー、よく見てるから?」
「ほらパソコンずっと触ってるとさ目が疲れてくるでしょ? だから外の景色みて目の疲れを癒してるの」
「へぇ! そうなんだ!」
「あともうすぐでしょ?」
「なにが?」
「花火」
「え、いつなの?」
「分かんないけど、そろそろかなって。 実はねちょっとだけ見えるんだ」
「そうなの?」
「ビルとビルの間から少しね。 それがちょっとだけ楽しみなんだ」
「ちゃんと見たことある?」
「ないかな。 病室とかちょこっと見れるだけ。 家からだと音しか聞こえなかったしね」
「ふーん」
外を見る千冬ちゃんはどこか寂しそうだった。
…そっか。
千冬ちゃんにとっては最後の夏。
見せてあげたいなぁ、花火。