幼馴染 × 社長 × スパダリ
観覧車はゆっくりと回りながら、だいぶ高い位置まで昇っている。
もう少しで真ん中の折り返し地点だ。
「俺は、大人になった萌絵と一緒に観覧車に乗りたかったんだ。」
そう言うと、涼ちゃんは私の頬に手を伸ばした。
それでなくとも顔が熱いのに、涼ちゃんに触れられた頬がさらに熱をもつ。
「萌絵、キスしていいかな…」
「そ…そんなこと…聞かないで…」
言葉が途中で遮られた。
柔らかい唇の感触が、言葉を飲み込んだのだ。
思わず息を止めていたが、息をしようと口を開くと涼ちゃんの舌が口の中に入ってきた。
大人のキスに心臓が爆発しそうになる。
頭がふわふわするが、すごく気持ち良い。
ゆっくりと唇を離した涼ちゃんは、優しい眼差しを向けてくれるが、恥ずかしくて私は俯いてしまった。
涼ちゃんは私を自分の胸に抱き寄せて、頭を撫でてくれた。
シトラス系の爽やかな涼ちゃんの香りがする。
「萌絵、…好きだよ。」
涼ちゃんの甘い囁きに力が抜けそうになる。
(…私はこのまま溶けてしまいそう…)
観覧車はゆっくりと回りながら降りてきている。
もう少しで、下にいる人から見える位置だ。
涼ちゃんは、そっと私を元の位置に戻しながら微笑んだ。
「萌絵、大丈夫?もうすぐ観覧車の終点だ。」