キラキラ星
「美香ちゃんは嫌なのかい?」と婆ちゃんが美香に尋ねると、

「ハイ…事務所の事を考えるとテレビ業界とも繋がるチャンスだと思うし、
事務所としても大きく成長すると思うけど…

何もわからない赤ちゃんの太陽を利用するみたいで母親として切ない気持ちになるんです。」

「そうね。たーくんはまだ赤ちゃんだもんね」

「それにモデルのMIKAの息子だからって誤解されたくないんです。」

「そうかぁ。」

「MIKA、これを機にママさんモデルっていう路線も事務所としては広がるんだよ。

親子モデルになってくれる人を募集しやすくなって、親子雑誌や赤ちゃん雑誌に出てもらえる人材を確保できるんだ」

「美香…、事務所に恩返しするって思えない?
俺さ、マジで高校生の時にバイトさせてもらって美月の誕生日プレゼントやパソコン買う事ができたんだ…
美香も事務所が支えてくれたからパリコレにも出れただろ?
太陽で恩返しさせてもらおうよ。な?」

美香は、涙を流しながら

「うん…わかってるんだよ…私も…
このオファーを受ければ事務所も…一流に…
なるって…でも、太陽は大切な存在だから…」

婆ちゃんと母さんが美香の背中をさすっている。

「社長〜、太陽をお願いします。でも、
この仕事が終わったら…私も太陽も事務所を辞めさせて下さい。
私、普通のお母さんになりたいんです…」
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