君とはただの幼なじみだった。
「そうだったんだ。」

美桜は目を逸らして言った。

「ごめん。ほんとに。」

「謝らないで、悪いのは私だから」

張り詰めた空気が部屋中に流れていた。

お互い無言の時間が続いた。

美桜とこんなに気まずい空気になったのは初めてだった。

「あのさ、お願いがあるんだけどさ」

張り詰めた空気を切り裂くように美桜が冷たい声で言った。

「今日だけ智也のこと好きでいていい?」

美桜は真剣な目で智也の目を見て言った。

「今日でこの気持ちを終わりにしたい。」

美桜はそう言って、智也にキスをした。

智也は受け止めた。

何も言わず。

「今日で全部忘れるから。」

美桜のその一言はとても悲しく聞こえた。

時刻は1時を回っていた。
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