【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
【2】日高さんの観察日記
僕は彼女の背中を追いかけた
○月△日(火)天気は晴れ。
今日は先月に行われた高校2年生を対象とした全国模試の結果発表があった。職員室前に張り出されたランキング表の一番上には「日高すず」の名前。名前を見た同級生や先生は「やっぱりね」「天才」「T大も夢じゃない」と騒いでいた。僕も結構頑張ったつもりだったが、校内結果は33番目。まだまだ勉強が足りないと思った。
○月□日(金)天気は雨。
天候が悪く教室内や廊下で生徒が騒いでいる中、すずちゃんは1人でプリントのホチキス留めをしていた。学級委員長である彼女はきっと仕事を任されたんだろう。僕だったら何でわざわざ昼休みにって悪態を吐いていたと思う。嫌な顔1つせずに雑務と向き合っているすずちゃんはお人好しすぎるのではないかと逆に心配になってしまった。
△月○日(月)天気は曇り。
すずちゃんはクラスの人に数学を教えていたようだった。自分の勉強もあるだろうに。それなのに教えてもらっている生徒は「私馬鹿だから無理」だとか「絶対赤点だよ」だとか、そんなことばっかり。数学なんて公式に当てはめて解けば赤点くらいは回避できるだろう。そもそも勉強する態度ではなく、すずちゃんに失礼だろうと飛び入りそうになった。