【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
僕は大きく目を見開いて驚いた。
「うわ、凄い。何コレ」
ノートには左上の端から右下の端までそれはもうびっしりと文字が書き連ねられていたのだ。名前の記載が無いコレは、きっとすずちゃんのノートで間違いないだろう。
殴り書きで記された英単語や数字、用語の数々。何度も何度も繰り返し解かれた問題。
最後のページまでそれは続いていて、ノートを見るだけでも彼女の膨大な勉強量が分かる。
「こんなに勉強しているんだ・・・すっごい努力家じゃん」
それに、いつもは達筆で綺麗な字なのに、殴り書きっていうところもなんだか可愛い。まじまじと観察しているところで僕はハッと我に帰る。
「と、届けなきゃ。今日家に帰ってから使うかもしれない・・・!」
今ならまだ間に合う。そう思った僕は急いで階段を駆け下りて昇降口へ向かうことにした。
しかしもうそこにはすずちゃんの姿は無かった。下駄箱を確認すると既に上履きが入っていた。つまり、彼女はもう校内には残っていない。
急いでローファーに履き替えて、門へと向かう。キョロキョロと見回していると、丁度先生と言葉を交わしているすずちゃんがいた。
そして背を向けて歩き出した彼女を追いかける。