【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
彼女が魅せるその笑顔の破壊力
「日高さん、このノート忘れてない?」
声が震えてしまったかもしれない。小さくて聞き取りにくかったかもしれない。
「あっ・・・私のノート!」
でも、すずちゃんに声が届いた。
声に反応して後ろを振り返った彼女。僕の顔を見て一瞬目をパチパチとさせた。その様子に突然話し掛けるのはマズかったかと「これ!」と手に持っているノートを胸の前に掲げる。
それを見たすずちゃんは「あはは、机の上に出して鞄に入れるの忘れてたかぁ」と恥ずかしそうに笑った。
こんな至近距離で、それも僕だけに向かって笑顔を見せる。
「ありがとう。わざわざ届けてくれて助かったよ」
「はわわ・・・」
「はわ?」
「・・・あ、いや、全然・・・大丈夫」
その瞳に初めて映る。まるまるっとした澄んだ瞳の中に僕が映っている。片思い歴2年目。初めて本人の前で名前を呼んで、初めて目が合って、初めて言葉を交わした。
この嬉しさをどう言葉で表現をしたらいいのか。さっきから「はわわ」の3文字しか頭に浮かんでこない。恋の病というものはおっかないものだ。