【完】月島くんは日高さんのことがお好き。



(あの時勇気を出して話し掛けて良かったぁ・・・!)


すずちゃんの忘れ物を届けて友達になったあの日から数日。一大決心で「お昼一緒に食べませんか」と連絡したら、何とOKの返事を貰えたのだ。思わず帰りの電車の中で人目を憚らず愛を叫びそうになった。

何とか踏み留まった僕は屋上であれば誰にも邪魔されないだろうと思い、この如何にも青春っぽい逢瀬現場が出来上がったのだ。



「そういえば月島くんはさ、進路ってもう決まってるの?」


お弁当を頬張っているすずちゃんが口を開く。いや、やっぱり口小さすぎない?と小顔であるが故に小さいパーツを思わずじっと見つめてしまった。


「・・・っえっと、僕はまだ全然。特にやりたいことも今の所ないんだよね」
「そっかぁ。みんなそんな感じだよねぇ」
「大学に行ってからでもいいかなぁって」


そう言うと「きっと月島くんにもやりたいこと、見つけられるよ」と笑う。その後「そうだね」と笑い返しながらも、出来ればすずちゃんと同じ大学に行きたいんだよなぁと来月に定期テストが迫っていることを思い出した。

どうにか彼女と同じ志望大にと思ってはいるが、T大やK大みたいな難関大であれば今のままじゃ厳しいのだ。
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