【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
「恋愛って難しいね」
「万年モテ期到来のお前がそれを言うか」
「だって僕、人を好きになるのって初めてだから」
「りっちゃんの元カノ、今頃全員泣いてるぞ」
元カノ?そう言われて思い浮かべてみるが全員顔も名前も出てこない。
恋愛が難しいと言う僕に「お前が拗らせてんだよ」と目の前の男にため息をつかれた。彼女持ちなくせに全然相談乗ってくれないじゃん。
不貞腐れた僕はテストの解答用紙を鞄に入れて帰り支度をした。
「もう帰るのか?」
「ふふん。今からすずちゃんとデートの計画立てるんだよね」
「・・・ちゃんと仲良くなってんだな」
「そりゃ僕も男だからねぇ。行くときは行くに決まってるでしょ」
デートの計画を立てたいのはもちろんだが、早くテスト結果をすずちゃんに伝えたかった。きっと彼女は「頑張ったね」って褒めてくれるに違いない。そしてすずちゃんに教えてくれてありがとうと、ちゃんと早く言葉で伝えたかった。
「じゃあまた明日」
「おー、また明日。頑張ってこいよりっちゃん」
「誰に言ってんの。僕だよ?」
「もちろん初恋童貞のお前に言ってんだよ」
桔平と教室で別れて、早速僕は屋上を目指した。るんるんと弾む気分で階段を駆け上がっていく。一緒に飲もうと思って自販機で買ってきたミルクティー、喜んでくれるだろうか。