【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
「・・・ごめんね、月島くん」
「ううん。僕は全然気にしてないから大丈夫だよ」
いつもより濁って掠れた声。涙は止まっても曇り顔のすずちゃんに、僕は声を掛けるべきかそうでないか迷っていた。
少し気分に余裕が出てきたところで、背中に回していた腕をそっと話して、彼女の隣に腰を下ろす。
「ふふ、恥ずかしいところ見られちゃった」
「そんなことないよ。それに、僕誰にも言わないし聞かないから」
「月島くんは優しいね」
うっすら笑みを浮かべたすずちゃんの前に散らばったテストの解答用紙。見事にそのほとんどが90点台だった。
しかし,握りしめていたからか、紙はぐちゃりと歪んでいる。
その中でも1番ぐちゃぐちゃになっている用紙があった。
それを手に取ったすずちゃん。そして「あはは、」と乾いた笑いをこぼした。
「すずちゃん?」
「・・・今日、数学の結果が返ってきたんだけどね」
そして彼女は、ぽつりと話し始めた。
「75点」
「凄いじゃん。今回の数学、結構難しかったよね」
「うん」
「僕すっごく勉強して自信あったのに83点。絶対90いったと思ってたんだけどね」
心の中に積み上げてきたものを吐き出すように、すずちゃんは口を開く。