【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
「みんなは『日高さんは頭良いから高得点を取れて当たり前』って言うけれど、私実際はそんなに頭良くないんだよ」
頑張っても頑張っても掛けられる重責と期待。少しでも気を抜けば様子がおかしいと言われる。
でも、やっぱりすずちゃんは優しいから弱音も吐かずに1人で隠し通してきたのだろう。
テストで高得点取って、学級委員長になって、頼られたらサポートをする。
今まで僕が見てきた日高すずという人物は周囲の人間から見た“日高すずの理想の姿”だったんだと今更ながら痛感した。
僕も彼女の理想を押し付けていた1人だったのだ。
「何度も書かないと覚えられないくらい要領悪いし、何回も繰り返して問題を解かなきゃ理解出来ないもん。寝たいからみんなみたいに徹夜なんて出来ないし」
「うん。僕もあのノートみて、凄い努力してるんだなって思ったよ」
「クラスの子が頭良かったらなってけらけら笑ってるけれど、じゃあ解けるまで勉強したらいいじゃんって思うの」
思い出すのはあの放課後、彼女に届けた忘れ物のノート。あの1センチ幅の方眼ノートは、いつもテスト週間の2週間前から使用するらしい。
たった2週間で全ページがびっしり埋まるほど書いて繰り返していることを知った時には驚いた。