【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
【4】日高さんがやっぱり大好き
僕の長い初恋の終わりと始まり
「律くん!見てみて!」
からっとした秋晴れの空の下。一足先に屋上に向かった僕は雲ひとつない青を見つめていた。
少し肌寒い季節になったが、降ってくる日の光はぽかぽかと暖かい。目を閉じて眠ってしまいそうになった時、可愛い声で名前を呼ばれた。
ちらりと目を配ると傍には僕の好きな人の姿。そして彼女はドヤ顔をするなり、一枚の紙を目の前に広げる。
それを見て、僕は大きく声をあげた。
「93点?!凄いじゃん」
「えへへっ律くんに1番に報告しなきゃと思って」
「勉強すっごく頑張ってたもんね」
それは先日行われた校内模試の結果。それも彼女が苦手としている数学のテスト結果だった。
目の下にうっすら出来ている隈を見つけて「少し寝不足なんじゃない?」と言うと、すずちゃんは「ちょっとだけね」と苦笑いしていた。
「律くんが教えてくれたお陰だよ」
「すずちゃんが頑張ったからだって」
「でも律くんの分かりやすい解説がなかったら無理だったよ」
だから、ありがとう。そう言って浮かべる最近の彼女の笑顔は以前よりもすっきりと清々しくなったと思う。
心の底から湧き出てくるような笑顔に僕は動悸が治まらなくて、毎日大変なのだが。