【完】月島くんは日高さんのことがお好き。



「律くんも来年の文理選択、文系にしたんだよね?」
「うん。その方が学部の幅は広がるからね」
「嬉しい。同じクラスになれたらいいな」


わざとか?わざと僕が嬉しいことを彼女は言っているのか?1人悶々とする僕を置いて、すずちゃんは購買で買ったパンに齧り付く。

昨日僕が食べていたのを見ていたら食べたくなったらしい。だったら代わりに僕が日高家母のお弁当を食べたかった。


「3年生になったらすぐ修学旅行だよ」
「その後文化祭と体育祭とあるから、きっとすぐ卒業だね」
「ちょっと律くん、まだ私たち半分しか高校生してないんだよ」
「・・・そうだった。でももう僕は十分すぎるほど高校生活充実してるかも」


高校に入学して約1年と半年。確かにまだ半分しか過ごしていない高校生活だけど、僕にとってはそれはもう目紛しい1年と半年だったように思う。

入学式の日に一目惚れしたすずちゃんと、まさか今こうして一緒にお昼ご飯を食べているだなんてあの時の僕は想像も出来なかっただろう。


「私も律くんと友達になってから、嘘みたいに毎日が凄く楽しいよ」
「それは良かった」
「心の拠り所っていうのかな?私のとって律くんはそんな感じ」


仲良くなってからも、この恋心は進化している。

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