【完】月島くんは日高さんのことがお好き。
「本当に良かったの?進路希望、同じ教育学部にして」
そう、僕はすずちゃんと同じ大学の、同じ教育学部を志望することにした。
これには担任の先生はもちろん両親も驚いていて、何か悪いものを食べたかと大騒ぎになったくらいである。もちろん桔平にも「お前が先生になんの?なんかうける」と言われた。
「無理して私に合わせたりしていない?」
「うん、大丈夫。僕が自分で決めたから」
彼女は「将来の幅が狭くなっちゃうよ」と眉を下げて心配しているようだった。
確かに経済学部や商学部に行ったほうが、将来就活先の幅が広がるだろう。大学生になったらなったで、別のやりたい事が見つかるかもしれない。
でも、教育学部は僕もちゃんと考えた上での希望だった。
「僕さ、大人になったら先生になって、生徒が思い切り高校生活を楽しめるようにサポートしてあげたいんだ」
将来自分は何をしたいのか。そう考えた結果、自然と出てきたのがその答えだった。
これ以上完璧な人なんていない、とそう思っていたすずちゃんも誰にも言えない悩みを隠していた。きっと僕や周りが気付いていないだけで、彼女のように悩みや苦しみを抱えている人は沢山いるはずなのだ。