【完】月島くんは日高さんのことがお好き。

僕はすずちゃんと向き合うようにして立ち止まる。

「これからも僕はすずちゃんと楽しい時も辛い時も、全部一緒にいたい。何度だって助けるから、何度だって支えるから、来年も卒業しても、隣にいていい?」

それはまるで将来の確約を乞うような言葉。高校生の若者が背伸びをして良いことを言っている、なんてそう思われるかもしれない。確かに未来なことなんて誰にも分からないけれど、その言葉に嘘偽りは全く無い。

少し目を見開かせた彼女だったが、その頰は次第に赤みを増していく。

「私の方こそ、ずっと隣に居てもらえると嬉しいです」

そしてふわりと微笑んだ。何度だって見てきたはずなのに、ゴクリと唾を飲んだ僕はまたその笑顔に打ちのめされてしまう。この子は、何度僕を惚れさせたら気がすむのだろう。

「それに、私のうんと長かった片思い歴。舐めないでほしいな」
「・・・え?ちょっと待って、本当にいつから僕こと好きだったの?ちなみに僕の存在知ったのはいつ?ねぇすずちゃん」
「そうだなぁ・・・私が体育館で代表の挨拶をした日」
「え?」
「だったりして」

すずちゃんはお茶目に笑っては「さ、帰ろう」と前を歩き出してしまった。僕は時が止まったかのように硬直する。ぼぼぼ、と顔が熱くなっていくのを感じた。

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