Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
そのナイフを見た瞬間、フィオナの心に怒りだけでなく様々な感情が入り混じる。殺すべきか?許せない。もっと痛みと恐怖を与えたい。でも、これが本当に正しいこと?

ぐるぐると感情が巡り、フィオナの手が震える。殺すつもりで戦ってきた。しかし今、フィオナは迷っている。そんなフィオナを楽しそうにマーティーは見つめていた。

「どうした?俺を殺すんだろ?」

「ッ!わた、しは……」

体が震える。頭に浮かぶのは、殺された家族やシオン、そして病院にいるであろうエヴァンだ。マーティーを殺してしまったら、彼らは喜ぶのだろうか。

「おい、何を迷っている?さっさと殺せ!!」

マーティーが怒り狂ったような声で言い、フィオナは素早くナイフを手にする。ナイフを持つ手は震えていた。彼を殺せば、もう二度とエヴァンたちと同じ場所にはいられない。冷や汗が伝い、呼吸はどんどん荒くなっていく。

「殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
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