Tear Flowes〜絶望の向こう岸〜
「綺麗なお花を買って、一緒に行こう」

エヴァンの言葉にフィオナが頷くと、その頭が優しく撫でられる。それが幸せで、フィオナは目を細める。こんな日々がずっと続けばいい、そう心から思った。

「そういえば、そろそろパレードが始まるんだって!早く行こう!」

エヴァンがフィオナの手を引き、走り出す。フィオナは「走ると危ないわ」と言いながら、楽しいと思っていた。自然と口角が上がっていく。

フィオナもエヴァンも、まだ気付いていない。ずっと二人が取り戻したかったものがすぐそこにあるということに……。



パレードを見終わり、いくつかアトラクションを乗るともう夕方だ。まだ太陽が出ているうちにお墓参りに行こうという話になり、フィオナとエヴァンは遊園地を出て少し歩く。

「あそこに花屋さんがあるわね」

「じゃあ、そこで買って行こうか」

墓地の近くにポツリと小さな花屋が建っていた。夕方という時間帯のせいか、誰もお客さんはいない。そんな中でも、バケツに入っている花たちは元気に咲いている。

「いらっしゃいませ」

五十代ほどのエプロンをつけたふくよかな女性が微笑む。彼女がここの店主なのだろう。二人はペコリと頭を下げ、花を選ぶ。

「この花、綺麗じゃないかな?」

「そうね。なら、この花とこっちの花を持って行きましょうか」
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