無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
あの問題児を手なずけてた静香先輩は、やっぱりすごいな……と、改めて感じた。
休憩になり、水分を補給する。
「邪魔」
壁に寄りかかってパス練をしている先輩たちを見ていると、低い声を投げられた。
顔を上げると、そこにいたのは洗濯物を抱えたリナ先輩。
「……すみません」
言われた通り道を開けたのに、リナ先輩は不機嫌オーラを濃くした。
「あんたね……手伝いましょうかとか言えないの?」
「……」
なんで俺が……。
正直そう思ったけど、口に出せばリナ先輩の眉間のシワが増えるだけだろうから言わないでおく。
「はぁ……そんな優しくない男に、静香は任せられないわね」
呆れた様子でそう言われ、反論する。
「静香先輩には優しくします」
リナ先輩に心配されなくても……俺のできる最大限で優しくするつもり。