無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜




「恋人同士は手をつなぐ時、こうするらしいです」



そう言って、俺は繋いだ手の指を絡ませた。

ぎゅっと少しだけ力を込めて、隙間がなくなるように握る。


静香先輩をじっと見つめていると、みるみるうちに、りんごのように赤くなった頬。

耳まで赤に染まっていて、静香先輩は恥ずかしそうに視線を下げた。



「こ、これ、ダメですっ……」



手を離そうとする静香先輩に、やりすぎてしまったかと不安になる。

けど……



「あの、心臓が持ちませんっ……」



……その言葉に、俺のほうがダメージを受けた。



「……すみません、俺もです」



流石にこの反応は、可愛すぎて……心臓痛い。

こういう初心な反応に、いちいち翻弄されるタイプと思っていなかった。

いや、男なら当然か……?

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