無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
手を緩め、繋ぎ方を元に戻す。
「まずは普通の繋ぎ方で慣れましょうか?」
「よ、よろしくお願いしますっ……」
頰を赤らめながら、懇願するように俺を見つめてくる静香先輩。
意外と低身長の静香先輩と俺の身長差のせいで、自然と上目遣いになっている。
……っ。
少し前の自分なら、これも計算だと思っていただろうけど、この人がそんなことをできるわけがない。
多分静香先輩がこんなにもピュアな人だってバレたら、他の男が放っておかないだろうな。
あの女の噂が一切立たなかったキャプテンでさえ落ちてたんだ……今よりモテたらどうしよう……。
できれば、男とはあんまり仲良くしないでほしい。
そんな女々しいことを思ってしまった自分に、こっそりとため息を吐き出した。
少しの間、気恥ずかしくて無言が流れていた。