無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
でも、決して気まずいとかではなく、静香先輩との間に流れる無言はなぜか心地いい。
この人といると……すごい、満たされたような安心した気持ちになる。
「……あっ、そ、そうだ」
沈黙を破るように、静香先輩が声を出した。
この人の声も好きだ。
控えめな声量の高い声。甲高い声は耳障りで苦手だけど、静香先輩の声は優しくて、ずっと聞いていたくなる。
「どうかしましたか?」
「あの、実は……マネージャーにならないかって、誘われました……」
……は?
突然の報告に、驚いて思わずそんな声が出そうになった。
「サッカー部の、ですか?」
こくりと頷いた静香先輩が、楽しそうに話す。
「リナちゃんが、誘ってくれたんですっ」
……確かに、静香先輩がマネージャーになってくれたらいいなとは思っていたけど……。