無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「……そう、ですか」
この人は本当に……俺をまるごと包み込んでくれるような、包容力の塊だ。
俺の情けなさも不安も全部、受け入れてくれる。
そんなふうにされた経験がないから、嬉しさに唇が震えた。
「えっと、和泉くんも話してくれたので、私も……どうしてマネージャーになることを前向きに考えているのか、話します」
……ん?
「不純な理由なので、笑わないでください……」
恥ずかしそうに口を開いた静香先輩。その横顔をじっと見ながら、次の言葉を待つ。
俺が笑うような理由って、なんだ……?
「あの、私……和泉くんがサッカーをしている姿を見るのが、とても好きで……」
それは、初めて聞く話だった。
「正直……マネージャーになったら、少しでも和泉くんといる時間が長くなるのかなって、期待してしまいました……」
「……」
「も、もちろん、なったからにはしっかりと働くつもりです……!」
……なんだ、その理由……。
ああもう……この人には一生勝てる気がしない。
「そんな健気なこと言われたら、反対なんてできませんって……」
可愛すぎる……もうダメだ。