無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「連絡先を聞かれても言わないこと……って、これは静香先輩スマホ持ってないから、関係ないですね」
「はいっ。全部守ります」
静香先輩は、少しも嫌がる様子を見せず、むしろなぜか嬉しそうにすら見える。
なんで喜んでるんだこの人は……ほんと、変な人だなぁ……。
そんなふうにされたら、もっと束縛してしまいたくなる。
自分がこんな束縛男だとは、思わなかった……。
この優しさに、甘えすぎないようにしないと。
静香先輩が恋をする相手は……この先もずっと、俺だけがいいから。
「……わかりました」
「ほんとですか!」
「気をつけてくださりね!」
「はいっ」
笑顔でこくりと頷く姿に、胸がきゅんとかぎゅんとか、意味のわからない音を立てている。
本当はこの笑顔も……他の男に見せたくない。
サッカー部のやつらが見たら、イチコロだ。
はぁ……心配……。
そして俺の嫌な予感は、案の定予感では終わらなかった。
俺は、静香先輩の人気を、甘く見すぎていたんだ。