無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「私情って……それ、リナちゃんにも言われた」
キャプテンは、わざとらしくふっと笑う。
リナ先輩がわかるほど、あんたの好意は明け透けだってことだろ……。
不機嫌を隠す気もない俺を見て、キャプテンは作り物のような笑顔を張り付けた。
「部内で付き合ってることが公認になったら、いろいろと問題があるんだよ。リナちゃんとケンだって、気使ったでしょ?」
「……」
それに関しては……正直、反論ができなかった。
名前は知らなかったけど、リナ先輩がその人の彼氏っていうのは有名な話だったし、気を使ってる部員も実際いたから。
「好き勝手にイチャイチャされたら、風紀が悪くなるんだ。わかるでしょ?」
得意満面にそういったキャプテンに、ぎりっと歯を食いしばる。
「キャプテンの気分が、の間違いじゃないっすか?」
「まあ、それもあるね」
ちっ……。
本当に、心底が読めない嫌な人だな……。