無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「超絶ピュアなの!!」
マネージャーの大きな声が響いた後、沈黙が流れた。
「…………え?」
その場にいる部員たちは一様にポカンと間抜けな顔をしていて、本格的に頭が痛くなってきた。
「ピュア?」
「ど、どういうこと?」
「先輩って、愛人いっぱいいるって噂だろ?」
部員たちの食いつきようと言ったらもう……面白いくらい必死に問いただしている姿にマネージャーたちは笑いをこらえるのに必死の様子だが、俺はひとりため息を吐き出した。
余計なことを言いやがって……ちっ。
「それ、ただの噂なんだから!!」
「だって静香先輩、今まで一回も付き合ったことないって言ってたし!」
「見た目で勝手に噂流れただけらしい!」
恋人の疑いが晴れたことに、本来なら喜ぶべきなんだろう。
でも……心の狭い俺は、素直に喜べなかった。
あからさまに目の色を変えた部員たち。