無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「……ま、マジで?」
「あの見た目で……?」
「うわ〜、それほんとだったらやばいかも」
もういっそ、こいつらには誤解してくれていたままでよかったのに……。
この一瞬で、絶対に静香先輩を狙う男が増えた。
同じ男だからわかる。
本当のあの人は……男なら誰でも、欲しくなるくらい純粋で、尊い人だから。
「ほんとだって!!なんかずっと年下の男に片思いしてるらしくてさ、その人のこと話す静香先輩ちょー可愛かった……!」
……っ。
突然そんな話が飛び出て、ごくりと息を飲んだ。
そういえばバスの時もそんな話が聞こえたけど……静香先輩、一体どんな話をしたんだろう。
可愛く俺の話をしていたのだと思うだけで、顔が緩みそうになる。
慌てて、口元を手で押さえた。
「年下?え、静香先輩って年下もいけんの!?」
「俺らにも可能性ありってこと!?」
「いやいや、普通に考えて同級生が一番だろ!」
「俺らが頑張るから、一年は狙うなよ〜」
……くそ、もうこれ以上は黙って見てられない。