無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
さっき、キャプテンと交わした約束を思い出す。
あんな約束がなければ、今すぐに静香先輩は俺の恋人だと宣言するのに……。
誰も手を出すなと、牽制できるのに……。
約束なんか、するんじゃなかったな……。
「お、お前、なんでそんな怖い顔してんだよ」
同じ1年の部員にそう言われ、眉間にしわを寄せていたことに気づいた。
「……おい、練習付き合え。ペア練な」
「はあ!?もう終わりだろ!!」
「3年生時間かかってるし、10分くらい余裕だろ」
「い、いやだし、お前のボール追いきれねーもん!」
「ぐだぐだ言わずに早くしろ」
「はぁ〜……?どんだけ横暴なんだよまったく……」
俺は行き場のない憤りの沈めるように、ボールを蹴った。